臓器売買で東京都の医師が逮捕された。養子縁組という法の隙間を通って行われた生体腎移植だったが、暴力団組員と金銭が絡んだため大きな事件となった。医師は、当初フィリピンでの海外渡航移植を計画していたが頓挫したらしい。
フィリピン・マニラ湾にあるスラム街バセコ地区。5万人が生活しており、その内5000人が腎臓を売ったと言われている。
港湾作業員やポーターになろうとフェリーで国内の島々からやってきてここに住み着いた人の大半は、技術もなく、教養もないという身分から逃れることはできない。事態が悪化すると血液を売り、万策尽きると内臓を売ることになる。
日本国内の腎臓移植の待機患者は約1万2000人。適合性や待機期間などで順番を決めるが、提供される臓器の絶対数が少なく、20~30年待ちというのが現状だ。そのためフィリピンなど海外での移植に活路を見いだすことが多い。
フィリピン保健省は、横行する臓器売買を食い止めるため2008年5月に外国人への腎臓移植を禁止した。